コモディティ投資はどう役立つのか?

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この記事を書いているのが2020年の7月なのですが、この時期は金価格が大きく上昇していましたね。理由としては、ドルが投資通貨というよりも調達通貨の性格を持ったために、政治的リスクが上昇したためです。

さて、今回の記事ではコモディティに関して書いていきます。コモディティとは、商品市場といい、株や債券ではなく、例えば金や原油などを売り買いする市場のことを言います。

今回の記事ではこのコモディティに関して、
①その取引の概要②コロナ感染拡大第1波において原油先物がマイナス価格をつけた理由、そして、③資産運用としてのコモディティを書いていきます。



 

Contents

①コモディティ取引の概要

機関投資家などがコモディティに対して投資をするときには、現物市場で行うことはほとんどないです。全くないと言ってよいかもしれません。なぜなら金融機関などの機関投資家がコモディティを売り買いする目的は、現物の調達ではなく、資金の運用にあります。なので、現物を調達してしまうと保管コストがかかってしまう上に、さらに流動性が低くなってしまいます。なので、コモディティ市場における様々な指数が発表されていますが、そこに出てくる指数というのは、すべてが先物取引の値です。

コモディティは先物取引が行われることがメインであるということを書きましたが、株式や債券などの先物取引とは異なる点があります。それは、限月(先物契約の権利行使の期限)が到来した際には必ず権利行使をしなければならないということです。株式や債券の先物市場の場合には、限月が到来したとしても強制的に権利行使をしなければならないというわけではありません。この場合権利を行使したときに損失になるようであれば、権利を放棄することができます。この時、投資家の損失はオプション料金に限定されます。しかし、コモディティの先物取引の場合にはそれができません。先物の購入する権利を購入していた場合には、限月が到来するまでに権利行使を行っていなければ、必ず権利行使をしなければなりません。

 

②コロナウイルス感染拡大第1波の時に原油先物価格がマイナスになった理由

上記でコモディティの先物取引の場合には、限月までに権利行使をしなければ限月に強制的に権利行使をされてしまうことを書きました。この時、反対売買を行わない場合、どうなるのでしょうか? つまり、先物取引で原油をX円で購入する権利を買ったとします。そして、限月が到来したときに、反対売買を行って原油を売却しなかったときに何が起こるのか? この時、投資家がそのコモディティの現物を補完しなければならなくなります。しかし、コモディティ先物市場に参加している機関投資家は基本的には、在庫を保有する能力はありませんし、また、もともと機関投資家がコモディティ市場に参加する同期は投機です。そのため、在庫を抱えるようなことがある場合にはただ在庫管理コストがかかるのみであり、機関投資家にとって現物を保有することは全くデメリットしかありません。

このような中でコロナウイルスの感染拡大第1波が到来して、経済が一時的に停止しました。そして、原油に関しては実体経済の中で、ますます需要が小さくなっていく上に、供給量は変化しないどころか減産協調に関してなかなか決定せずに、増産していた場合もありました。その中で、原油を保管する倉庫のキャパシティがいっぱいになってしまうという危惧がされ始めて、ますます売られるようになりました。こうした中で、原油先物価格は著しく下落し続けました。そして、限月が近づくにつれて、投資家の間でも在庫を抱えることはできないので、とにかく手放したいという考え方が大きくなり、それがますます大きくなっていく中で、お金を払ってでも手放したいという考えに変わっていきました。それが、原油先物市場におけるマイナス価格の正体です。

 

③資産運用としてのコモディティ

さて、ここからが本題なわけですが資産運用の中にこのコモディティを取り入れる場合にはどのようにして取り入れた方が良いのか? そもそも取り入れるべきなのかということについて書いていこうと思います。

その前に、このコモディティに対して投資をする場合、個人投資家は直接的に先物取引を行うわけではありません。もちろん、直接的に先物取引を行うこともできますが、それはかなり難しく相当な知識が必要になりますので、あまりお勧めはできません。このようなコモディティに個人投資家が投資をする場合には、投資信託やETFを使うのがよいでしょう。そして、さっきからコモディティという風に書いていますが、このコモディティには主に3種類の分類があります。エネルギー関連、貴金属関連、そして、農作物関連の3種類です。

こうしたコモディティに投資をするメリットとして一般的には、インフレヘッジになるということですが、実はあまりそういうことにはなりえません。一般的には、商品ということでリアルアセットに投資をするので、インフレに応じて価格が上昇していくと考えられているのですが、価格推移とインフレ率の相関係数をとってみると、エネルギー関連の相関が30%前後で一番高く、ある程度は相関があると考えることができるけれども、他の資産農作物と貴金属に関しては、相関係数が絶対10%程度であり、インフレとはほとんど独立していると考えることができます。

このような点から、コモディティに対するバイアンドホールドにおける長期投資はあまり向かないことがわかります。

では、ポートフォリオの一部にコモディティを組み込むことはどうなのかということを考えていきます。コモディティは株式よりも値動きが比較的小さい上に、この種類によっては資産の保全効果もあります。そのため、ポートフォリオの一部に組み込むことは非常に有用です。しかし、この際注意しなければならないことがあります。それは、コモディティのバイアンドホールドは避けえるべきであるということです。資産の保全効果があるとはいえ、長期投資ではインフレよりも高い成果を上げることが難しいのが、コモディティ投資です。そのため、買ったら買いっぱなしというのは、コモディティ商品では絶対にやってはいけません。株式などでもできればやめた方が良いですが、株式は長期的に見ると、右肩上がりの上り幅が非常に大きいので、コモディティと比べるとバイアンドホールドはしてもよいものです。



 

では、どうするべきなのか?

 

コモディティをポートフォリオの一部に組み込む場合、全体の資産配分を決定して、リバランスを定期的に行うことが重要であると言われています。特にリバランスは、資産同士の相関係数が0近ければ近いほど効果を発揮する投資手法です。このようにコモディティ市場に参加する場合には、コモディティのみでポートフォリオを作成するのではなくて、株式とのバランスを含めてポートフォリオを作成して、定期的に資産配分をみなすことが投資効率を上げる最大の手法であると考えられます。

 

今回の内容は以上です。最後まで読んでくれてありがとうございます。
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