イールドカーブとは何か? 経済の先行きを見通す指標

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株価を予想することは難しいですよね。新型コロナウイルスの感染拡大に合わせて、株価が急落したのはすぐに理解できることですけれども、そこからいったん落ち着きだした5月。しかし、その一方で経済は冷え切った状況で、景気は悪くなると考える方が妥当であるのに、株価は上がり続ける6月序盤です。



 

さて、今回の記事ではこういった株価の上下に関して予想をすることは非常に難しいけれども、そういった流れを読み解くための一つの指標に関して紹介します。

今回紹介するツールは債券の利回りを使った、イールドカーブというものです。

 

以前にもイールドというもの紹介した記事がありました。イールドとは、債券の利回りのことを指します。利回りとは、毎年受け取ることのできる金利収入のほかに、債券の取得価格と譲渡価格とを合わせて算出することで、その債券をその期間保有することで、どのくらいリターンが得られるのかというものを数値化したものです。端的に言ってしまえば、その債券を購入することでどのくらい収益を得られるのかということです。

 

この債券の利回りですが、色々な状況に応じて変化しますが、一つ大きな原則として、

「債券の残りの期間(残存期間)に応じて利回りは変化する」
ということです。

通常は、債券の残存期間が短い債券ほど利回りは小さくなり、逆に残存期間が長い債券ほど利回りは高くなります。

債券の利回り
残存期間が長い 高い
残存期間が短い 低い

なぜそうなるのか?

これは、ケインズの「流動性選好理論」なのですが、この流動性選好理論は、資産の流動性とその利回りはトレードオフになるという理論です。債券は簡単に換金できるとは言え、預金などの元本保証が付いたものよりもいつでも現金にできるというわけではないですよね。また、同じ債券であっても、満期までの期間が違えば、その分換金性も異なってきます。債券の満期が近いものほど流動性は高くなります。だからこそ、利回りは小さくなってしまうのです。そして、債券の残存期間が長いものほど、利回りは高くなるのです。

 

そして、冒頭で紹介しました、「イールドカーブ」というものは、横軸に残存期間をとり、縦軸に利回りをとり、それぞれのポイントでプロットしたものを線でつなげたものです。つまり、イールドカーブとは、債券の残存期間に応じて利回りがどのように変化するのかということをグラフ化したものです。

 

通常は、下記のグラフのように、右肩上がりになります。

 

 

 

しかし、経済が混乱し始めようとするときには、このイールドカーブに異常が現れます。

その時に起きる現象が、

イールドカーブのフラット化 と イールドカーブの逆転

です。

フラット化とはその名前の通りにイールドカーブが平たんになってしまうことです。つまり、長期利回りと短期利回りの差がなくなってしまう現象です。

そして、イールドカーブの逆転とは、イールドカーブが右肩下がりになる現象です。つまり、通常は長期利回りが短期利回りと比べて大きな利回りであるはずなのに、短期利回りのほうが高くなってしまう状況のことです。まさに、下の図のようなグラフの状態です。

 




 

では、そのような状況がなぜ良くないのでしょうか?

答えは企業の投資活動にあります。企業が資金調達をするためには様々な方法があります。株式によるものや債券によるものなど。ここでは債券により資金調達をする場合を考えますが、企業が資金調達をして事業拡大やら新規事業を立ち上げる場合に、その採算がとれるようになるためには通常長い期間がかかります。そのため、資金需要側の企業からしたらできる限り期間が長い債券の方が良いはずです。しかし、逆イールドの時には短期の債券のほうが利回りが高くなってしまっています。そのため資金供給側の投資家はわざわざ利回りも流動性も低い長期債券を新たに購入しようとはしないはずです。ここに債券市場における需給のミスマッチが生まれます。民間(企業)の投資活動が停滞してしまって経済の停滞を招く可能性があります。このような点で、逆イールドな状況は経済的には良くないのです。

 

では、なぜそのように長期利回りが短期利回りよりも下がってしまうのでしょうか?

これは債券の残存期間に応じた特性を理解しておく必要性があります。それは残存期間が短くなればなるほど利回りは現在の値からは大きく動かないということです。なので、逆イールドの状況になったとしても、それは短期金利が上がったわけではなくて、長期金利が大きく下がったことが要因です。そして、長期金利はどのような要因によって決まるのかというと、将来の成長性や景気動向によって決まっていきます。つまり、投資家たちが近い将来景気が後退する可能性があると考える場合には、長期債を購入するのです。長期債の価格が高くなると、利回りはその分下落するため、逆イールドな状況になってしまうのです。

債券価格
残存期間が長い 金利の変化を受けやすい
残存期間が短い 金利の変化の受けにくい

だからこそ、今後の株価を予想するためにも、債券の利回りを確認することは非常に重要であると言われています。

 

今回の内容は以上です。最後まで読んでくれてありがとうございます。
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