理論株価を算出するとしたら、どう計算する? もっとも単純なやつ(DDM)

え~、今回の記事では株価の理論値を算出する時のもっとも簡単なモデルについて紹介します。

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理論株価算出の最もシンプルな計算式

株価を算出する時に、最もシンプルな計算式は以下のような計算式です。

P = D / r

P=株価、D=配当金、r=割引率です。

これは、毎年同額の波頭金を受け取ることができるという前提における株価の算出モデルです。つまり、企業がこれ以上成長せずに配当金を変動させることなく、ずっと同額の配当金を受け取り続けるという前提に立ったモデルです。

この計算式からわかる通り、配当金といったキャッシュフローを用いて、理論株価を算出します。もちろん、キャッシュフローを使わずに理論株価を算出する方法もありますが、今回は配当金を用いて算出するモデルを扱います。

 

基本的な計算式は以下のようになっています。

P=D/(1+r) + D/(1+r)^2 +D/(1+r)^3 +・・・+D/(1+r)^n

P=Σ(1~n){D/(1+r)^k}

等比数列の和の公式を用いて計算すると、

冒頭のようになります。

 

企業の成長に伴う株価の成長モデル

もちろん、配当金は永久的に一定というのは考えにくいです。

時間とともに成長していく場合がほとんどです。このようなときに使う計算式が以下のようなものです。

P=D/r-g

P:株価、D:配当金、r:割引率、g:配当金成長率

 

この場合の計算式は上記の配当金を一定と仮定したものとほとんど変わりません。ただし、配当金は成長するので、その成長率1+gを配当金Dにかけたものを足していく形になります。

計算式で書くと以下のようになります。

P=D(1+g)/(1+r) + D(1+g)^2/(1+r)^2 +・・・・・・

=Σ(1~n){D(1+g)^k/(1+r)^k}

=D/r-g

 

このように配当金を用いて株価の理論値を算出するのですが、rやgはどのように求めればよいのでしょうか?

一般的なものを紹介します。

rは株主資本コストを用いて、gはサステナブル成長率を用います。

株主資本コストとは?

株主資本コストとは?

株主資本コストとは、みずほ証券のhttps://glossary.mizuho-sc.com/faq/show/275?site_domain=defaultによると、

株主資本コスト(Cost of Equity)とは、企業が事業を行うにあたって調達した資金にかかるコストのうち、株主から出資を受けて調達した資本に対するコストのことである。株主にとっての最低限の要求収益率(ハードルレート)であり、企業は株主資本コストを上回るリターンを株主に還元できなければ、株主は資金を引き上げると考えられる。

このようになります。通常投資家は、投資先の事業のリスクが大きければ大きいほど、配当金などの投資家還元に対して大きいものを追求します。株式投資におけるリスクプレミアムは何なのか、様々な定義が考えられますが、一つはβでしょうね。

その他に以下の計算方法もあります。それが

K = D/P + g

という計算式です。これは現在の配当利回りとサステナブル成長率を足したもので、投資家が享受することができるインカムゲインとキャピタルゲインの合計であると考えることができます。

マーケット全体のリスクに対して、ベータをかけたものが、株主資本コストになるでしょう。

サステナブル成長率とは?

サステナブル成長率とは?

次にサステナブル成長率です。この指標は、計算式でいえば、下のようになります。

G=ROE×(1-配当性向)

ROEは単位当たりの自己資本でどれだけの利益を上げることができるのかという指標になります。

そして、(1-配当性向)は「内部留保率」を表します。

つまり、前期上げた利益のうち、内部留保に回したお金でどれだけの利益を上げることができるのかということを指標化したものです。

 

まとめ

この計算式はもちろん前提があります。配当性向やROEに変化がないことは当然として、利益による株主資本の増加以外は想定していない点です。

つまり、増資などによって株主資本を増額することが考えられる場合には、このモデルは適用することができないということです。

 

当然、それらを想定したモデルも存在しますが、それはまたの機会に。

以上

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