為替オプションとは? 概要、仕組み、キャッシュフロー、BS/PL上の表示


Warning: Undefined array key "Twitter" in /home/ougiizaya/szkryhiichioku.com/public_html/wp-content/plugins/sns-count-cache/sns-count-cache.php on line 2897

みなさん、こんにちは! ためにならないファイナンスです。

仕事で為替オプションやクーポンスワップなどの外国為替デリバティブを扱ったので、参考になればと思いこの記事を書きます。

Contents

為替オプションとは?

今年度(2022年度)は外国為替が非常に大きく動く年になりました。輸出入を行う企業が外国為替の影響を受けて損益が大きく変動する年度であったと思います。そのため、そのような企業では為替レートの変動によって企業業績が大きく変動しないように、外貨の調達レートや円転レートなどをできる限り固定化したい意向があります。このときに使用するものが外貨国為替デリバティブや為替予約です。

一般的に、デリバティブも為替予約も大きくは変わりはなく、主に円転・外貨調達のレートを固定化する時に使用されます。その中に様々な仕組みを導入することで、固定化するレートを動かすことができます。

よく使用されるのが、長期為替オプションというものですが、これは、3年や5年、10年といったスパンで為替レートを固定化することで企業のPLのリスク、特に営業利益の為替変動によるリスクを小さくしようとするものです。

リスク選好に応じた特約の付与が可能

為替オプションは、外貨レートを固定化する効果がありますが、契約条件によって固定化するレートを動かすことができます。

今回は外貨を調達する場合を例にして書きますが、
為替オプションにおいては、契約期間を定めたり、レバレッジをかけたり、契約の消滅条件を定めたり、権利義務が発生しないレート(リスクフリーレート)を定めたり、様々な特約を付けることで、契約レートを動かすことができます。

契約期間とは、為替オプションによって外貨を調達レートを固定化する期間のことですが、その期間は長くすることで、契約レートを下げることができます。

レバレッジとは、より多く外貨を調達しなければならないことを指しますが、実勢レートがある一定の基準となるレートよりも円高や円安になった場合には、契約した金額の2倍や3倍の外貨を調達しなければならないということを指します。例えば、レバレッジ2倍で円高発生条件で、契約レートが120円、レバレッジなしで1万ドルを調達する契約の場合、実勢相場が125円であった時には通常通り1ドル120円で1万ドル分調達するものなのですが、実勢相場が110円の場合には、レバレッジ2倍後の2万ドル分の金額を1ドル120円で(実勢相場が110円だけれども)調達しなければならないという特約です。このレバレッジは2倍や3倍などの倍率を見かけますが、この倍率が大きくなれば、契約レートを下げることができます。しかし、一方で円高になった場合にはより多くの外貨を調達しなければならないので、資金ショートのリスクになりかねません。

契約の消滅条件とは、その名前の通りある条件を満たしたときの為替オプションの契約自体が終了してしまって、同様の調達ができなくなることを指します。この条件のことKnock Out条件なんて言ったりします。条件の種類には様々なものがありますが、代表的なものとしては円安消滅条件です。名前の通りですが、為替レートがある基準よりも円安になってしまった場合には、契約が消滅するという条件です。例えば、調達レートが120円で、円安消滅レートが140円であった場合、権利行使日に為替レートが130円であった場合には、その後も契約期間の限りその契約は継続されますが、権利行使日に為替レートが145円であった場合には、その調達を最後に契約が終了してしまうというものです。この消滅条件は条件の種類によって変わりますが、契約レートを下げる効果があります。

最後にリスクフリーレートですが、例えば契約レートが120円で1万ドルの調達で、レバレッジ2倍の円高発生条件で条件レートが110円の場合、実勢相場が130円の時には、1ドル120円で1万ドルを調達することができます。逆に、実勢相場が100円の時には、1ドル120円で2万ドル調達しなければなりません。では、実勢相場が110円から120円の間の時にはどうなるのかというと、調達しなくてもよいというものになり、その時の為替レートで調達することができるというものです。外貨を調達する必要がないので、リスクフリーレートと言われています。この条件を付与すると、一般的には契約レートが上がります。

為替オプションはどのように組成されているか?

次に、このような為替オプションがどのように組成されているかを書いていきます。
以下の説明は少しざっくりとした説明なので、正確ではないです。悪しからず。

通常、オプション取引というと、オプションプレミアムを支払う必要があります。しかし、一般的な為替オプションの場合にはオプションプレミアムを支払う必要はありません。これには、為替オプションを組成する時のオプションの組み方に秘密があります。

シンプルなケース

まずはシンプルな場合を考えてみましょう。契約レートが120円で、円高発生条件のレバレッジなしで、円安消滅条件もなしの場合です。この時抱えているポジションは、権利行使価格1ドル120円のドルコール円プットのロングとドルプット円コールのショートです。オプションはロングするとプレミアムを支払う必要がありますが、ショートする場合にはプレミアムを受け取ることになります。なので、同じ権利行使価格のオプションのロングとショートを組み合わせることによって、支払うオプション料と受け取るオプション料が相殺されて、このような為替オプションを組むことができるという仕組みになっています。

実務的には、その時々マーケット情勢によってオプションプレミアムは変動するので、権利行使価格が同一で、かつ、プレミアムが同じになるポイントが契約レートになります。

上記の例の場合、
1ドルが120円よりも円安の場合には、120円のドルコールをロングしているので、権利行使をしてドルを調達する権利を有します。一方で、120円のドルプットをショートしているので、そのオプションの買い手は権利放棄をします。

逆に、
1ドルが120円よりも円高の場合には、120円のドルコールはオプション価値がないため、権利放棄しますが、ドルプットは権利行使されます。そのため、ドルを購入する義務が生じます。

このようなポジションをとることで、為替レートを固定化することができます。

 

レバレッジがかかる場合にはどうなるのか?

為替オプションには、円高発生条件によるレバレッジの特約を付けることができます。このようにレバレッジをかける場合には、ドルコールを1単位ロングし、ドルプットを2単位ショートするというポジションをとります。こうすることで、受け取るオプション料が大きくなるので、その分支払うオプション料を大きく設定することができます。そのため、権利行使価格が下がります。

一般的にコールオプションの場合、権利行使価格が低いほどオプションプレミアムが大きくなり、プットオプションの場合には権利行使価格が高いほどプレミアムが大きくなります。さらに、満期までの期間が長いほどプレミアムは大きくなります。この特性を利用して支払うプレミアムと受け取るプレミアムが同一となる権利行使価格が契約レートとなるように為替オプションが組成されます。

一般的な会計処理

最後に会計処理について、貸借対照表や損益計算書にどのように表示されるのかということについて書いていきます。具体的な仕分け処理について書きませんので、悪しからず。

まずは、為替オプションを契約した時の仕分けについてですが、この時仕分けは発生しません。もし、オプション料金などを支払っている場合には現金を支出する仕分けが発生しますが、為替オプションの場合にはプレミアムの支出はないので、仕分けは発生しません。

契約に基づき外貨を調達する時
この時、実勢相場が契約レートよりも円安であれば、その分為替差益が発生し、逆に実勢相場が契約レートよりも円高であれば為替差損が発生します。

買掛金を決済する時も同様です。
この外貨を調達する時と買掛金を処理する時の為替差損益が、損益計算書上の営業外損益の為替差損益に影響を与えます。

次に決算期にどのような処理がなされるか説明します。
デリバティブは決算期に時価評価されます。時価評価されたデリバティブがどのように貸借対照表・損益計算書に反映されるのか、まずはどのように時価評価されるのかというと、計算方法は、「実勢相場ー契約相場」で計算されます。

まずは貸借対照表です。
この計算式が正の値をとるときには、資産勘定に為替予約を計上する一方で、純資産にデリバティブ評価益を計上します。逆に、負の値をとるときには、その分だけ負債勘定に為替予約が計上されて、反対勘定にデリバティブ評価損が計上されます。

その一方で損益計算書上では、「当期末の為替予約の時価評価ー前期末の為替予約の時価評価」により算出された数値が、特別利益ないしは特別損失として計上されます。

例えば、為替予約が
①前期末100(資産勘定)⇒当期末120(資産勘定)の場合、
特別利益に20のデリバティブ評価益
②前期末100(資産勘定)⇒当期末80(資産勘定)の場合、
特別損失に20のデリバティブ評価損
③前期末100(資産勘定)⇒当期末100(負債勘定)の場合、
特別損失に200のデリバティブ評価損

一方で、為替レートがKnock Out条件が発動してしまって、デリバティブが契約終了となってしまった場合を考えていきましょう。この場合には、通常の決算期と同様に、時価評価をします。契約がないので、為替予約の時価評価額は0になります。しかし、前期末の為替予約の評価額があるので、その分だけ特別利益ないしは特別損失に評価損益が計上されます。

まとめ

今回の内容は以上です。最後まで読んでくれてありがとうございます。

図は使わずに文字だけで書いているのでわかりづらいところがあると思いますが、「ためにならないFINANCE」なんでご容赦ください。

もし、「ためになった」と思っていただけましたら、「いいね」などしていただけると励みになります。


Warning: Undefined array key "Twitter" in /home/ougiizaya/szkryhiichioku.com/public_html/wp-content/plugins/sns-count-cache/sns-count-cache.php on line 2897

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です