リーマンショックとは何だったのか? ~インサイドジョブより~

みなさん、こんにちは!

最近政治的な問題で株価が大きく下落していて、むしろ低金利すぎて収入が見込むことができないと言われている債券が優良な投資先ではないかと言われているような異常な環境なんです。ところで、このような下げ相場なので過去大きく下げた、資本主義の終焉ではないかと言われていた「リーマンショック」に関して今回は考えてみようと思います。



 

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〇リーマンショックとは結局何だったのか?

世間的にはリーマンショックというと、投資銀行であるリーマンブラザーズという会社が経営破綻して起こった経済不況であるという認識が強いですよね。しかし、この経営破綻はどのようにして起こったのか? また経営破綻するとなぜそれほどまでに世界的に影響を及ぼすのかについて、理解している人は少ないのではないでしょうか? そこで、今回は「Inside Job」という映画を見て、リーマンショックの原因とリーマンブラザーズが破綻することでどのように世界に影響を及ぼしていったのかについて書いていこうと思います。
最初に結論を書いてしまうと、リーマンショックとは、「住宅バブルの崩壊」です。それも、金融システム全体を巻き込んだ住宅バブルでした。それでは詳しく見ていこうと思います。

 

〇リーマンショックの引き金 サブプライムローン

 先ほどリーマンショックとは「住宅バブルの崩壊」というように書きましたが、通常不動産を購入し住宅ローンを組む際には、銀行などは債務者がしっかりローンを返済できるように返済能力が高いと思われる人にしか貸しませんよね。しかし、この「住宅バブル」の時にはそれを行いませんでした。返済能力が低いと思われる、いわゆる「サブプライム」と言われる人々にまで貸していました。聞いたことありませんか? 「サブプライムローン」という言葉を。
 通常でしたら、こういったサブプライムと言われる人々にはローンを組みません。では、なぜこのような人々にまでローンを組めるようになったのでしょうか?

 

〇ローンの証券化

 このサブプライムと言われる人々にまでローンを組めるようになったのは、このローンを証券化したからです。証券化とは何なのかというと、簡単に説明すると、株式の場合には出資をする代わりにその会社の所有権や配当を受ける権利を買うことができますよね。株式とはいわば会社の所有権を証券化したものです。ローンを証券化することで、ローンの返済による金利を受け取る権利と償還元本を受け取る権利を買うことができるということです。しかし、ローンをいくら証券化したとはいえ、中身はサブプライムです。通常でしたら買ってくれる投資家なんていません。ただ現実ではこの証券されたローンは購入されていました。ここには証券化されたローンを販売できた秘密が2つあります。それがCDOと格付け会社の格付けです。

 

〇CDOと異常な高格付け

 投資をするときに基本にエッグ理論というものがありますが聞いたことはありませんか? エッグ理論とは、一つの投資先ではその投資先の運用状況がうまくいかないと、その影響を直に受けてしまいますが、投資先をいくつかに分けることで仮に一つがうまくいかなくても、他の投資先がうまくいっていれば損失を小さくしたり、リスクを小さくすることができます。この仕組みがCDOにも使われています。一つ一つの債権は、リスクが高いものでもたくさんの債権を集めることで、その債権全体が紙くずになってしまう確率をかなり下げようというものです。例えば、一つのローンが返済できないと考えられる可能性が80%であったとしても、この債権を100個集めると、すべての債権が返済不能になる確率は、2.03×10(-10乗)、つまり、0.0000000203%ということになります。このように、債権自体が紙くずになってしまう確率は非常に小さいのに、借り手がサブライムのために高い金利が期待できる。このような確率上の安全性と収益性が投資家を魅了してしまったのです。
 しかし、ただ債権を集めただけでは、もともとがサブプライムであったために、本質的なリスクは非所に高いはずです。それなのに、この商品を投資家たちは保有するようになったのです。なぜ、こんなにも本質的リスクが高い商品を保有するようになってしまったのでしょうか? それがもう一つの原因である「異常な高格付け」です。このようなサブプライムの寄せ集めてのはずの債権でしたが、S&Pの格付けはAAAです。このAAAという格付はどのくらいなのかというと、当時の米国債券と同等レベルに信用力のある格付けです。
 債券の中身が、サブプライムであることを理解していたのかしていないかは定かではありませんが、このような投機的銘柄がAAAの格付けをつけられるのはおかしなことです。

 しかし、このサブプライムローンを証券化して投資家に販売することだけでは、あれほど大きな危機にはならなかったでしょう。こういったCDOは年金基金が購入していたので、「年金基金の運用はどうなっているんじゃ!」というような批判の的になっていたくらいだと思います。あれほどまでに危機が大きくなってしまったのには別の原因があります。それが「高いレバレッジ」です。

 



〇自己資本をはるかに上回る借り入れによる運用

 株式や投資信託での運用を想像してみてください。通常の運用の場合には自分の手元にある資金の範囲で運用を行うと思います。そのため、損失が出たとしても投資に回している金額以上に損失が大きくなることはないですよね。しかし、借金をして運用資金を大きくすることで、通常の自己資金だけの運用よりも大きな効果が期待できます。これをレバレッジをかけると言います。ただ運用がうまくいけばよいですが、運用がうまくいかずに損失を出してしまった場合には、借りた分のお金を運用に回した資金以外から返済に回さなければなりません。結果的に運用資金以上に損失を大きくしてしまう可能性があります。そして、返済ができなくなると債務不履行(デフォルト)と言われる状況になります。
 リーマンブラザーズ含め多くの投資銀行は、CDOをレバレッジをかけて運用していました。当時の最高倍率は33倍です。自己資金の30倍以上の借金をしてCDOで運用をしていたのです。そして、実際にCDOを組成する一方でその買い手がつかなくなりました。そうすると、借金ばかりが膨らんでいくこととなりました。そして、世にいう「リーマンショック」へとつながっていくのです。

 

〇金融機関の破綻 その波及効果

 リーマンショック前夜、リーマンブラザーズは莫大な借金を抱えていながらその返済のめどは全く立っていませんでした。そのため、経営破綻をしました。さて、金融機関それも莫大な借り入れを抱えた金融機関が破綻するとどうなるのか? もっとも恐ろしく最初に起きるものが金融市場が停止することです。各金融機関は、リーマンブラザーズに預けていた資産を引き出すことができなくなってしまいます。また、CP市場も完全に停止しました。このCP市場というのは多くの会社が給与の支払いのために利用しているものです。そのため、資金を動かすことが全くできなくなってしまいました。これが金融危機の最も恐ろしい点です。各金融機関は独立して金融業務を行っているのではなく、他の様々な金融機関と関係しながら業務を行っています。そのため、一つの金融機関で異常が発生すると、まるで人体の血液循環のように、体全体に金融市場全体に影響を及ぼしてしまいます。
 その結果は皆さんが知る通り、大量解雇、経済の後退、派遣村、金融危機によって多くの経済的な損失が生まれてしまいました。

 

 

今回の内容は以上です。現在の株価の下げは、金融システムによるものではなく、政治的問題が表層に現れただけなので、このような問題を生じさせるまでにはいかないと考えられます。なので、少し時間が経てばまた株価は上昇し始めるでしょう。ただ、政治的懸念材料はまだ多いので当分は下げ相場が続く見方が大きいです。それこそ2018年の年末くらいまで、日経平均株価が2万円を枠るくらいまでは下がるのではないでしょうか?




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