分散投資のことを誤解していませんか? ~正しい分散投資とは何なのか?~

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投資をするときには、その投資の目的にもよるものですが、分散が必要になる場合があります。しかし、分散というものはただ資産を分けて管理すればよいというものではありません。様々な方のポートフォリオを見ていく中で、「これっていわゆる俺的ポートフォリオで、ただの自己満足ではないか?」と考えてしまうようなポートフォリオを公開している人もいるので、注意が必要です。

 投資をするときには分散投資が重要であると言われていますよね。ところでこの分散投資とはどういうことなのでしょうか? 一般的に言われていることは、資産を一つのかごに入れるのではなくて、いくつかの資産に分けて管理をすることで、もし一つの資産が価格下落を起こしたとしても、別の資産が価格が上がっている可能性があるので、総合的に考えると一つの資産においておくよりも価格の下落が抑えられるということが分散投資です。

 しかし、ただ資産を分けて管理をすればよいのでしょうか? 例えば、ただ資産を分けて管理すればよいと考えている人がこのように投資をしたとします。その資産配分は国内株式:先進国株式=5:5で投資信託に投資をしたとします。これは良い分散投資でしょうか? もちろん、分散投資をする目的にもよりますが、この分散投資は資産の保全を目的にしている場合には非常に悪い分散投資です。もちろん、これは極端な例なので誰もがこの分散投資はよくないと考えるでしょう。

 ではこの場合はどうでしょうか? あまりリスクは大きくない方がよいが多少リスクをとってある程度の収益を見込みたいと考えていた人が、このように投資をしたとします。その時の資産配分は先進国株式(為替ヘッジなし):先進国債券(為替ヘッジなし)=3:7で投資をしたとします。この資産配分は投資目的に照らして十分な分散効果が得られる資産配分なのでしょうか?

 

 今回は分散投資とはいったい何なのか? また分散投資をするときに注目しなければならないことはいったい何なのかということに関して書いていきます。

 分散投資は上記で書いたように資産をいくつかに分けて管理するということは全くその通りです。しかし、皆さんもわかっていると思いますが、ただいくつかに分けて運用をしているだけでは、ただ分けているだけで分散投資にはなりません。では、どのように資産を分けなければならないのでしょうか?



 

Contents

〇分散投資をするときに注目しなければならないこと

1、資産の価格変動の向き

2、資産の価格変動の大きさ

3、資産の価格変動が何に起因するか

 

、分散投資は、「一つの資産が価格が下落したとしても別の資産は価格が上昇している。」ということを前提にしています。つまり、ポートフォリオに組み込む資産はそれぞれの価格変動の向きができる限り無関係、あるいは逆の方向に向いていないといけません。この2資産の価格変動の向きが似ているのかどうかを確かめる数字は相関係数です。相関係数は、-1~1の数字で表され、1に近づくほど2資産の価格変動の向きが同じ方向であり、-1に近づくほど逆の動きにあるということを指します。そして、相関係数が0に近いほど2資産の価格は無関係に動く可能性が高いということを指しています。

、分散投資には、上記の価格変動の向きのほかに、「総合的に市場が下落している時、ある資産は大きく下落しているけれども、別の資産の下落率は小さくなっているので、その二つの資産を組み合わせることで、総合的な価格下落幅を小さく抑えることができる」ということが重要になります。これは各資産のリスクのことを指します。リスクとは価格変動性のことを指し、1年間でどのくらい価格が増減するのかということを指します。

、上記二つは投資信託の価格に大きく出てきますので、評価がしやすいですが、分散投資にはもう一つ価格には出てこない点で重要な点があります。それは、資産価格の変動がどういったことに大きく影響を受けるのかという原因を分けて管理するということです。具体的に言いますと、株式の場合には景気に大きく左右されます。景気がよい時には価格は大きく上がりますが、景気が悪くなってくると価格は大きく下がります。次に、債券の場合ですが、債券は景気の影響を受けにくいですが、金利の影響に大きく左右されます。金利が上がると債券価格は下落し、金利が下がると債券価格は上昇します。そして、リート不動産の場合には、景気の影響と金利の影響が同じくらい関係します。これも景気とは正の相関関係があり、金利には負の相関関係があります。最後に、外国証券の場合には、為替の影響が非常に大きいです。円高になると、その資産の円換算の評価額は下落し、円安になると、その資産の円換算の評価額は上昇します。このように各資産はどのような変化の影響を大きく受けるか変わってきます。分散投資をする場合にはこの影響を受ける現象を複数に分けることが重要になります。


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分散投資のポートフォリオ評価

さて、分散投資を説明する前に、「その資産配分は正しいのか」ということを書いたと思いますが、以上のことから考えて、その分散投資は正しいのでしょうか?

運用方針 … リスクはあまりとりたくないけれども、ある程度の収益性を確保する
投資資産配分 … 先進国債券(為替ヘッジなし):先進国株式(為替ヘッジなし)= 7:3

これが上記で説明した投資法ですが、これは目的と照らし合わせるとあまり有効的な分散投資ではありません。確かに、株式と債券で3:7の割合で投資をしているので、「1、価格変動の向き」と「2、価格変動の大きさ」という点は満たしています。しかし、「3、価格変動がどういうことを原因として起こるのか」ということをほとんど満たしていません。この投資配分の場合には外国証券に為替ヘッジを全く行わずに、投資をしています。そのため、為替の影響を全く分散できていません。確かに債券と株式で、景気の変動による価格変動性は異なります。しかし、為替レートの変動は景気の影響を大きく受けます。

例えばアメリカの株式、債券で運用をしていた場合には、アメリカの景気が下降傾向に入ると、為替は円高ドル安になります。そのため、いくら景気の影響を受けにくいというメリットを持つ債券でも、為替の影響を受けてしまうために円換算での評価額は景気の下落により下落してしまいます。このような点から、大きなリスクは取りたくはないという投資方針があるにもかかわらず、為替リスクを分散させていない投資手法であるため、この資産配分は良くはないと考えられます。

では、このような場合にはどういう投資をすればよいのでしょうか? 答えは、為替ヘッジを行っていない先進国債券を為替フルヘッジを行っている先進国債券か国内債券に変更することで為替リスクを分散させることができます。為替のフルヘッジとは、為替の影響を受けにくくするための方法で、全く受けないわけはありませんが、かなり小さくすることが可能です。また国内債券に投資をすることで、そもそもその債券価格が為替変動により変動する可能性を0にすることも可能です。

 

分散投資の評価 ~データ分析~

ところで、株式、債券、リートで分散投資をする場合には冒頭の3つの原則を守って行わなければならないのですが、それぞれの資産は実際にどのくらい動きが異なるのでしょうか? ここからは代表的な投資信託の基準価格を用いて分析をしていきます。

 

〇データ分析概要

・分析期間  2015年~2018年(1年区切り)

・分析対象ファンド
    国内株式
    国内債券
    先進国株式
    先進国債券(為替ヘッジなし)
    先進国債券(為替フルヘッジ)
    新興国株式
    新興国債券
    国内リート
    米国リート

 以上の9つのインデックスファンドをもとに分析しています。また、運用期間のあるリートの投資信託では、毎月決算型の投資信託しかなかったため、すべての基準価格は分配金を再投資した場合の基準価格を採用しています。

・分析項目

  投資信託の基準価格の相関関係
  投資信託の基準価格の標準偏差(リスク)

・参照  日興アセットマネジメント(株)から投資信託の基準価格をダウンロードしています。



 


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〇それでは実際に分析を見ていきましょう

まずは相関関係から見ていきましょう。以下の表を見てください。

上の表は、各年の各投資信託の相関係数を算出したもので、その年ごとに特に相関係数が大きかった項目を赤字に設定し、特に相関係数が小さいものを緑色で表示しています。

詳細を見ていきましょう。まず目立つのが、どの年でも先進国株式と国内株式、新興国株式は相関係数が高いですよね。そして、国内株式、先進国株式と国内債券、為替ヘッジありの先進国債券は相関係数が0に近いか負の値をとっていますよね。これは株式は景気の影響を大きく受ける一方で債券は景気の影響をあまり受けないので納得がいきます。しかし、国内リートのところを見てください。2015年には新興国債券と相関係数が非常に高かったのですが、2017,18年では新興国債券との相関係数は非常に低くなっています。これはなぜなのでしょうか?

2015年は相場全体が下げ相場でしたので、債券の類に資金が集まり、株式やリートからは資金が流出してしまったので、リスク資産(株式、リート、新興国債券)と安全資産である債券(先進国)の相関関係は負の値ということは納得ができます。同じように国内リート新興国債券が大きな正の相関関係を持つことは納得できます。しかし、2017年18年は全く逆なのです。2017年には、新興国債券は大きく価格上昇する一方で国内リートは価格を下げました。その一方で、2018年には新興国債券が大きく価格下落をする一方で国内リートは大きく価格上昇しました。しかも、2018年に限った話では後半から大きく相場が下落し、全体的に価格が下落する中で、国内リートだけが価格上昇をしていました。

ここから何がわかるのかというと、リートは景気の影響と金利の影響を半々で受けるという特徴も合わせて、「株式や債券とは独立して動く可能性が高い」ということです。もちろん、極端に景気が悪くなってしまった場合には、景気の影響も受けますのでその分価格は下落してしまいますが、市場調整局面においてはどちらに転換するかはわからないという特徴があるのではないでしょうか? 効率的な分散投資という観点から一定割合リートを含めることは必要であるということがわかります。これは国内リートのみならずアメリカリートにも言えることだと思います。

 

また、最初のほうで説明した先進国株式と先進国債券ではどうでしょうか? この資産の相関係数を比較してみますと、為替ヘッジをしていない場合にはどの年でも相関係数は正の値を算出しています。2017年に限っては、相関係数0.93と非常に高い数字まで記録しています。しかし、為替フルヘッジをした先進国債券と比較してみましょう。これを見てみますと、相関係数はマイナスの値で大きくなっているところもありますが、おおむね平均値は0に近いです。どちらの指数も外国通貨ベースでは全く同じ数値をとっているはずです。違うのは為替リスクをヘッジしているかしないかです。このことから、債券投資における為替リスクがどのくらい大きいかわかります。

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次にリスクに関して見ていきましょう。下のグラフを見てください。

上のグラフはその年ごとの各資産のリスクを表しています。こう見るとわかると思いますが、株式よりも債券のほうがリスクは小さいですよね。

注目していただきたいのは、先進国の株式と債券です。株式と為替ヘッジをしている債券は、毎年同じようなリスクになるのですが、為替ヘッジをしていない先進国債券は年によってリスクが大きくなったり小さくなったりしています。それだけ、為替リスクの不確実性が高いということを示しています。

またリートは景気と金利の影響を半々に受けるので、リスクは株式と債券の中間ぐらいに位置しています。ただアメリカリートは為替リスクをヘッジしていないので、その分リスクが大きくなったり小さくなったりとリスクの不確実性が高くなっています。その一方で、先進国株式は為替リスクをヘッジしていないにも関わらず、毎年同じようなリスクになっているので、リスクの不確実性が低いという点は安定運用のためには重要であると評価できます。

そして、国内株式及び債券、新興国株式及び債券は毎年同じ程度のリスクを算出していますので、リスクの不確実性を小さくするためには必要な資産であると言えます。

このように各資産にはリスクの大小があり、また、年によってリスクが大きくなったり小さくなったりするものがあります。安定運用をするという投資方針の下では、このようなリスクをうまくコントロールし、リスクの不確実性をできる限り小さくし、投資方針と見比べて適切なリスクかどうかを検討する必要があります。

 



フジトミ

最後にもう一度、分散投資をするために考えなければならないことは、

1、価格変動の向き

2、価格変動の大きさ

3、価格変動が何に起因するか

この点を重視して分散投資をすることで、より安定度の高い分散投資ができるようになります。

これは株式における分散投資でも全く同じです。株式の場合には、③が最も重要になります。


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今回の内容は以上です。最後まで読んでいただきありがとうございます。
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