金融緩和によってマネー統計が増加することは、物価上昇につながるのか?

みなさん、こんにちは! マネーの育成術へようこそ!
この記事を開いてくれてありがとうございます。

この記事を書いているのは2020年7月ですが、コロナウイルスが流行っている中で、5月以降に様々な補助金や無利子の融資が国から行われています。そうしていく中で、市中に回るお金の量がますます大きくなっています。そこで、今回はマネー統計に関する記事を書いていきます。

 マネー統計には、主に二つの指標があります。

①マネーストック

②マネタリーベース

です。

今回の記事は下の本を参考にして書いています。

 

 

①マネーストック

 

マネーストックとは、金融部門全体から経済に供給されている通貨の総量のことを指します。この「通貨」というものに関してですが、これは現金を意味するわけではありません。正確の意味するところは、預金です。つまり、このマネーストックという指標は経済全体にある預金の総量のことを指します。

このマネーストックという指標は、計算範囲によっていくつかの種類があります、よく使われるマネーストックの指標はM2と言われています。M2とは、現金通貨と国内銀行に預けられた預金を足し合わせたものです。

ここでいう現金通貨とは、日本銀行券発行残高と貨幣流通高と足し合わせたものです。日本銀行券発行高とは、千円札から1万円札までで発行されている残高の総量であり、貨幣流通高とは、1円玉から500円玉の発行されている総量です。
そして、国内銀行に預けられた預金の総量に関してですが、対象となる金融機関は、日本銀行、ゆうちょ銀行を除く国内の銀行、外国銀行の在日支店や信用金庫、商工中金などです。

最近では、このM2に代わって、M3が使われることが多くなりました。この統計は、現金通貨、預金取扱機関に預けられた預金通貨(この2つを足し合わせたものがM1)、そして、準通貨とCDを足し合わせたものです。

この預金取扱機関に預けられた預金通貨とは、国内の預金を扱っている金融機関の流動性預金に預けられた預金の総量のことを指します。次に準通貨ですが、こちらは同じ対象の金融機関の定期預金や外貨預金のことを指します。そして、CDとは譲渡性預金のことを指します。

このほかにも場合によっては、広義流動性というものが使われることがあります。この広義流動性とは、上記のM3に、投資信託や金融債、国債、外債などが含まれた統計のことを指します。

 

 

②マネタリーベース

マネタリーベースとは、中央銀行が供給する通貨のことを指します。具体的に言うと、上記で説明した現金通貨のことを指します。つまり、1円玉から1万円札までの現金で、市中に流通しているお金の総量のことを指します。ちなみに下のグラフは2003年以降のマネタリーベースとM2、M3の推移を表したものです。上から順番に、M3、M2、マネタリーベースです。

 

こちらのページを参考にして作成しました

これを見ていただければわかると思うのですが、マネタリーベースに関しては、2013年まではほぼ一定であったにもかかわらず、2013年以降右肩上がりが続いており、2020年にも急激の上昇しています。それに対して、M2、M3のマネーストックは一定のペースで右肩上がりが続いていますが、2020年には急激に上がっています。

それぞれの時期に何があったのかを説明していきます。2020年に急激に上昇している理由は明らかですね。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う補助金や融資に伴って、市場に流入するマネーが急激に増加したためです。では、2013年からマネタリーベースが継続的に増加しだしたのはどのような理由からだったのでしょうか? 実はこの年から日銀で量的緩和を進めるようになったことが原因です。量的緩和とは、中央銀行が国債などの金融資産を大量に購入することによって市場に流通するマネーの総量を増加させる金融政策です。それまでの金融政策としては、おそらくみなさんも教科書などで習ったことがあるかもしれませんが、公定歩合などのような金利を操作することで金融緩和を行うという金融政策をしていましたが、2013年以降では金利をそれ以上下げることは難しい段階まで下がってしまい、量的緩和を行うようになりました。この結果、マネタリーベースがそれ以降で継続的に右肩上がりになりました。

 

 

③信用創造

上記のグラフを見ていただければわかると思いますが、すべての場合で、マネタリーベースよりもM2、M3などのマネーストックのほうが大きくなります。これは変わることはありません。マネタリーベースは簡単に言えば日銀が発行しているお金の総量のことを指し、マネーストックで集計される通貨は預金が対象になります。しかし、預金を預かる金融機関はこの預金をただ預かっているわけではありません。お金を借りたいという人たちへ融資をします。例えば、マイカーローンであれば、車を購入したい人の通帳に一時的にお金を入金してすぐに車販売店にお金を振込をします。車販売店の口座もどこかの金融機関の口座であるので、その預金の一部をまた誰かに融資をします。といった具合に、一つの取引はまた別の取引に波及していき、経済全体で見ることでまた別の預金を生み出すために、マネーストックはマネタリーベースよりも大きくなります。この銀行などの金融機能によるマネーストックの増加のことを信用創造と言い、マネーストックとマネタリーベースの比率のことを信用乗数と言います。
上記のマネタリーベースとマネーストックのグラフを見ていただければわかると思いますが、グラフで表されている2013年以降から急激に信用乗数が下がっていることがわかります。さて、これはどういうことなのでしょうか? この答えは次の④を読んでみてください。

 

 


 

④マネタリーベースが増加すると、物価が上がる?

2020年には、コロナウイルスによって経済が大打撃を受けました。これによって各国の政府から補助金や無利子の融資などで、市中のマネーが増加していきました。これによりマネタリーベースの増加とマネーストックの増加が促されました。こういった量的緩和が起きるたびに言われることがあります。

 「近々インフレが加速して、物価が大きく上昇するのではないか?」

ということです。

 確かに、最近の例では、お金をたくさん発行することで、ハイパーインフレが起きた例もあります。最近ではジンバブエドルが有名ですよね。お金をたくさん刷って、様々な政策を行った結果、2000年から2007年の8年間で物価が650万倍になったようです。これはやりすぎな異常な例ではありますが、このような歴史があるために、給付金によりマネーを増加させることでインフレが加速するのではないかと考えることは自然です。

しかし、今回の給付金によるマネーの増加によって物価が上昇するのかと言えば、上昇しないとは言えないけれども、この給付金のせいで急激に上昇するということは考えにくいです。その根拠を示す前にまずはある理論の説明をしましょう。

それが、

貨幣数量説

です。

この理論は以下のような恒等式のことを指します。

 

 

マネーサプライとは、家計や企業が使うことのできるお金の総量のことであり、マネーストックとほぼ同義です。
通貨の回転率とは、一定期間にどの程度の取引が行われたのかということをさします。
物価と取引数量は読んで字のごとくです。

通貨の回転率が一定の時、マネーサプライが増加すると、物価あるいは取引数量が増加します。しかし、経済全体のお金の総量が増加したとしても大抵取引数量はあまり変化がないので、一般的には物価が増加します。逆の場合もしかりです。マネーサプライが減少すればその分物価が下落することが一般的です。

しかし、そう簡単にはいかないのが現実です。日米欧でマネーサプライの対GDP比で比較すると、米国は65%、欧州は95%、日本はなんと175%という数字が出ています。つまり、それぞれの国のマネーの総量で、そのGDPを創出するためには、米国の場合1.5回転、欧州の場合1.05回転、日本の場合には0.57回転必要であるということです。この数字は上記で説明した通貨の回転率です。現状ではお金が有り余っているのに、さらにお金を発行しているという状況なのです。それを示すもう一つの指標として、③で説明した「信用乗数」です。2012年までは信用乗数が比較的高いところを推移していたが、2013年に量的緩和を導入してもマネーストックは大きく上昇することなく、一定のペースでの増加が続くこととなりました。

するに、通貨の回転率や信用乗数とは現存するマネーが一定期間に何回使われるのかを示す指標です。お金が使われるということは、金銭取引を行うということであり、金銭取引を行うということはお金の持ち主が移転することです。通貨の回転率が上昇することは、経済取引が活発化していき、お金を使われることを意味します。つまり、経済全体で売り上げが上昇することで、物価は自然と増加するということです。

 

ここで重要なことがわかります。

物価とマネーストックに大きな相関関係はない。むしろ、お金は使ってこそ意味があるものである。

ということである。

まとめ

今回の内容は以上です。最後まで読んでくれてありがとうございます。

金融緩和が直接的に物価を押し上げるわけではありません。金融緩和によってお金が余り、そのお金をたくさん使うから物価が上がるわけです。なので、貯蓄率が高くなってしまったり、経済を回すための消費が減少してしまったりしてしまった場合には、今後物価が上昇するという見通しはどうしても下がってしまうのではないでしょうか?

Twitter(@szkryhiichioku)をやっていますので、フォローしてもらえれば更新を見逃しません。

併せて読みたい記事

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。